職員募集

卒前・卒後臨床研修の要綱

 当院は「富山労災病院 卒前・卒後臨床研修指針」のもとに平成29年度(2017年)の研修医を募集しています。

1.研修しうる診療科
内科(呼吸器科、消化器科、糖・内分泌、腎・高血圧、神経内科、血液、リュウマチ・アレルギー)、循環器科、内科、外科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、麻酔科、救急、眼科、皮膚科、地域医療
2.受け入れ対象
富山大学医学部の学生実習
富山大学卒後研修の「協力型研修病院」
東京労災病院卒後研修の「協力型研修病院」
3.研修医の処遇と連絡先
「富山労災病院 卒前・卒後臨床研修指針」の最終ページを参照ください
*2016年11月より新病院で診療予定です。
新病院 新病院

卒前・卒後臨床研修指針

Ⅰ.目的
将来の医師として生きてゆくための基礎的能力を身に付ける。そのために、対人関係、問題解決型医療、医療安全、医療技術・知識、の基礎的なことについて学ぶ。
Ⅱ.背景
1.近年おきている医学教育のパラダイムシフト
  1)「医師中心の医療」から「患者中心の医療」へ
  2)「直観や信念に基づいた医療」から「根拠に基づいた医療」へ
  3)「器質的疾患のみに焦点を当てた医療」から「患者の精神世界(物語)への
    共感を基盤とした医療」へ
  4)「臓器専門性」重視から「総合性」重視へ
  5)「徒弟的な教育」から「体系的な教育」へ
  6)「知識獲得型学習」から「問題解決型学習」へ
Ⅲ.プライマリケアと卒前・卒後臨床研修
1.臨床研修におけるプライマリケアとは何でしょうか。
  一般的な疾患(Common disease)を診ることとかFirst touchをすること、という
  印象が一般的に持たれている。
  1)Common diseaseとはどんな疾患を考えるか。
    感冒、市中肺炎、心筋梗塞、尿路感染症、くも膜下出血、骨折、などなど。
  2)First touchとは予診、問診である。
    紹介状で診断名が書いてあったとしても、やはり、問診、診察、画像の検討、
    鑑別診断の確認、除外診断、と通常の診療パターンを取る。
    これがプライマリケアです。
  3)難しいがん患者を受け持ったとする。
    最先端のことはプライマリケアとは言えないでしょう。
    しかし、この患者さんに熱が出たとする。この熱の原因は何でしょうか?
    これも立派なプライマリケアの仕事です。
    患者の持つ問題への解決能力の基礎を身に付けるのがプライマリケアの大事な
    目標と考えます。
  4)研修医がそこにある症例をどう活かすか、問題解決型診療をきちんと学べる
    仕組みが大切と考えます。
2.症例数が多くて忙しい大病院での研修が本当にいいのか?
  1)量より質:質を担保する工夫がどこにあるのかが重要です。
    症例数が多くなくても、ゆっくり診られて、さらに優秀な指導医に詳しく指導
    してもらえる病院は高級すし店のカウンター席のようなものです。
  2)忙しくて、似たような疾患が矢鱈多い病院では、「熱―胸部撮影―肺炎―抗生
    物質」のワンパターンの繰り返しになりがちです。
    研修医は「考え、学ぶ習慣」を身に付けるべきです。
Ⅳ.初期研修で学ぶべきことと大事なこと
1.問題解決型学習
2.個々の責任に基づく自己学習
3.実際の現場、環境での学習
4.症例に基づいた学習
5.目標の明確化
  研修医の能力や将来の希望によって、期限を決めた目標を立てる。
  <例>
  1)1年後にはこれだけのことができるようになる。
  2)初期研修が終了した時点ではこういう医師になる。
  3)行動目標や経験目標のどこそこをマスターする。 
6.見守り体制ができている
  1)内科なら内科で、研修医の到達すべき目標ラインが内科ドクター全員と看護師に
    共有されている。
  2)研修医がさらされるリスクに応じた対策が立てられている。
Ⅴ.研修の実際
1.オリエンテーションから始まる。
  最初にオリエンテーションを行い、教育の目的、院内のルール、スケジュールなどを
  前もって示すことで学習効果を高める。
2.患者・医師関係、チーム医療、問題対応能力、安全管理、医療面接、症例提示、診療
  計画、医療の社会性、医療記録、などについて目標を立てて学ぶ。
3.コミュニケーションスキルを学ぶ
  1)接遇は大事です。挨拶の仕方、言葉遣い、礼儀の心得、身だしなみ、プレゼンの
    仕方、などを日常の診療において常に学ぶ。
  2)診療レベルと患者満足度を上げるために他の職員と目標を共有する。
  3)チーム医療をするために、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の能力を身に付け
    る。
4.統合型・問題解決型医療を学ぶ。
  症例を受け持ち、その病歴、身体所見、検査所見を順次示し、それぞれの段階で必要
  な医学知識を学ぶ。
  1)問題解決能力の要点。
    ① 臨床データを正しく解釈しているかどうか。
    ② 仮説設定の前提が適切か。
    ③ 疾病に関する知識は十分か。
    ④ 鑑別診断に上げた疾患があまりにも多すぎないか。
  2)診療上の疑問(問題点)を次の4点について明確にする。
    ① どのような患者(年齢、性別、疾病、など)について
    ② どのような介入や暴露(検査法や治療法、予防法など)が
    ③ 何(自然経過、プラセボ、従来の検査法や治療法など)と比較して
    ④ 患者の改善したいアウトカム(生存率、罹病率、苦痛の程度、コストなど)
      の優先順位は何か?
  3)臨床判断・決断の根拠となるための四つの情報源を活用する。
    ① 病態生理学的知識:心不全の患者には塩分を控える、など。
    ② 過去の患者群で得られたデータ:EBM
    ③ 患者の意向・選好:EBMに合わない選択を患者が希望する場合もある。
    ④ 社会的規範:倫理、道徳、法律、経済などの要因
5.臨床技能の実際を学ぶ。
  臨床技能には、コミュニケーション技能、身体診察、臨床手技、臨床判断などが
  含まれる。
  1)診療上頻繁に用いられる医学知識
    ① 主な症候の病態生理と原因疾患
      発熱、全身倦怠、体重増加・減少、食欲不振、めまい、けいれん発作、
      リンパ節腫脹、発疹、黄疸、頭痛、聴力低下、視力障害、結膜の充血、
      鼻出血、嘔気・嘔吐、喀血、吐血、嚥下困難、咳・痰、胸痛、動悸、
      呼吸困難、胸やけ、腹痛、便通異常、腰痛、関節痛、歩行障害、
      四肢のしびれ、浮腫、チアノーゼ、血尿、排尿障害(尿失禁、排尿困難)、
      尿量異常など。
    ② 主な症候の鑑別診断、検査選択、治療決定に役立つ病歴情報
      症候に関する情報(開始時期、身体部位、強さ、誘発因子と緩解因子、
      時間経過に伴う症候の消長など)、既往歴、嗜好歴、
      パーソナル・プロフィール、家族歴、症候に関する患者の解釈モデル、
      原因や予後について患者自身が抱えている考え、期待している治療内容、
      予測している治療期間、治療の選択など。
    ③ 主な症候の鑑別診断に役立つ身体診察(視診、触診、打診、聴診)所見
      バイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸)、頭部、顔貌、皮疹、
      結膜(充血、貧血、黄疸)、眼底、外耳道・鼓膜、口腔、
      頚部(甲状腺、血管雑音、リンパ節)、胸部の打診、呼吸音、心尖拍動、
      心音・心雑音、腹部膨満・陥凹、腹壁、腹部内臓器の触知、腸管雑音、
      腹部血管(拡大、雑音)、直腸指診、四肢の血管拍動、浮腫、チアノーゼ、
      関節所見など。
    ④ 主な症候の鑑別に用いられる検査法の特性、コスト
      検査前確率、感度、特異度、検査後確率、コスト、費用対効果など。
    ⑤ 主な治療法の適応、選択時の考慮因子
      安静、薬物、内視鏡、手術、放射線、RIなど。有効性、リスク、副作用、
      コンプライアンス、エビデンスの質など。
    ⑥ 予防医療に関する基礎知識
      禁煙、禁酒、食事、運動など。
  2)救急処置に不可欠な知識
    ① 救急処置が必要となる症候の原因疾患
      心肺停止、ショック(アナフラキシーショックを含む)、意識障害、
      脳血管障害、急性呼吸不全、急性冠不全、急性腹症、急性消化管出血、
      急性じん不全、流・早産、急性感染症、外傷(頭部外傷、脊椎・脊髄損傷、
      胸部外傷、腹部外傷、骨盤骨折、四肢骨折・損傷)、急性中毒、
      誤飲(タバコ、薬物など)、誤嚥(ピーナッツなど)、熱傷、精神科疾患
      など。
    ② 効果的な応急処置
    ③ BLS(Basic Life Support)、
      ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)
      などの受講が有用である。
  3)経験則
    臨床判断・決断の原理・原則を診療のルールとして教える。
    例;「患者が痛みを訴える場所は必ず、触診せよ」、「薬の変更は1種類ずつ
      おこなうこと」、「発熱は抗生物質が不足するために起こるのではない」、
      「60歳以下の症状は一つの疾患で説明するように、高齢者ほど複数の疾患
      を有する」、など。
Ⅵ.実りある研修のために、以下の企画がある
1.症例カンファレンス
  1)研修医の行動目標
    ① 症例を要領よく他人に提示できるようになる
    ② 症例の問題点を的確に捉えられるようになる
    ③ 患者の問題点から鑑別診断をあげながら最終診断にたどりつくことができる
      ようになる。
    ④ 参加者として多くの症例についての知識を得る。
    ⑤ 参加者として一つの問題についての異なったアプローチの仕方、解決法を身
      に付ける。
  2)症例の選択
    ① 研修医が受け持っている患者のうち、診療の中で難渋しているケース、診療
      上の問題は解決したが他の研修医に役立つと思われる症例。
    ② 救急外来や夜間当直で遭遇することが多い疾患・病態や、どの医師にも最低
      限の初期対応が求められる疾患。
2.ミニレクチュアー
  1)毎日の診療の中で生じる様々な疑問点について、指導医は適宜研修医に実践的な
    知識の短時間のレクチュアーを行う。
  2)研修期間に身に付けておくべき知識について系統的に行うミニレクチュアー。
    主な項目として以下のものがある。
    ① 救急で必要な実技と知識
      心蘇生の実際や風邪症状、意識障害、めまい、頭痛、胸痛、急性腹症、
      糖尿病・内分泌系疾患の救急。
    ② 脳血管障害、ショックなど。
    ③ 薬剤使用の基本。
      ・主な疾患での薬物の処方開始と変更の仕方。薬物の効果の判定の仕方。
       継続期間などのルール、重大な結果となり得る薬剤の副作用。
       副作用の対処法、等。
      ・研修初期に必要なものには、循環器系の薬物と感染症に対する薬物が
       ある。
    ④ 基本となる診察・検査・治療手技
    ⑤ X線診断、病理診断
3.抄読会
  最新の文献情報を短時間で要領よく手に入れ、患者のために使えるようにするため
  に開く。
Ⅶ.外来診療の特徴と研修
1.外来診療の特徴
  1)患者の抱える問題点が絞られていない場合が多い。
  2)身体的、精神的・心理的問題点が整理されていない。
  3)家族や地域と言った背景を念頭に入れておく必要がある。
  4)時間軸を利用した経過観察が重要となる場合がよく見られる。
2.指導の方法
  患者を診察しながらの指導。研修医が診察し、その後指導医が診察し、そして指導
  する。
Ⅷ.研修医の評価について:Education is Evaluation
1.まず、研修目標(到達目標)を決め、研修への系統的な取り組みである研修目標、
  研修方略、評価を明確に意識する。
2.研修医評価の目的
  1)研修の進み具合を確認し、研修医に知らせる。
  2)知識、技能、態度といった領域での研修目標の到達を判定する。
3.評価のプロセス
  1)指導医による研修医の日常的な診療行為の観察
    医療面接、臨床推論、カンファレンス、などについて評価する。
  2)何がどう評価されるのか、指導医と研修医にあらかじめ明示する。
4.研修医の評価方法の実際
  1)EPOCを利用した具体的評価
    EPOC評価項目一覧を研修医ごとにファイリングしておき「この項目はまだだ
    な」と思えば、それらの症例や手技を担当させ、一緒に評価する。
    其のファイリングは研修科が変わっても持ち歩き、次の指導医に見せる。
    研修医の現状を常に把握するためには、EPOCの紙ファイリングを持ち歩く。
  2)ショートケース
    指導医の担当症例で、指導医が病状をすでに把握している症例が課題として
    与えられます。30分で患者さんの病歴を取ってきなさいと指示します。
    30分後にプレゼンテーションをさせます。それを指導医がチェックしてフィー
    ドバックします。ポイントは「できていたこと」と「できていなかったこと」
    をきちんと指摘する。
  3)ロングケース
    病歴の後、身体所見を取って、今後のプランを立てる。指導医から「~について
    説明してください」「~について君の考え方を聞かせてください」などと指導し
    ていく。
Ⅸ.研修医のための医療安全
医療事故の予防と過誤への対応(過誤の要因とその後の対応)。
1.医療者にミステイクがあっても患者の障害に至らない仕組み(セーフティーネット)
  や、ミステイクが起こりにくい仕組み(フールプルーフ)を取り入れたシステムの
  構築を常に考慮する。
2.ミステイクの種類と要因の分析。
  ミステイクは、判断・決断の誤り(誤診)と手技上の誤りに分けられる。
  1)判断・決断のミステイクの分類
    ① 急いでいた、忙しすぎた、疲れていた。これらは共に、全ての認知機能の悪
      影響を及ぼす。最初に得られたわずかの情報を基に判断してしまい、後から
      新しい情報が入ってきても、再考しようとしない心理状態に陥る。
    ② 大多数の患者で、どこかに不確実性を抱えたまま治療に移り、経過観察を行
      わねばならない。そのような診断上の不確実性に耐えられない医師は、過剰
      に、しかも患者にとって負担の大きさを省みずに検査を行い、合併症の危険
      を増大させる。
    ③ プライドを保とうとして冷静な判断を欠く。
  2)手技上の誤り
    ① 技術の未熟によるもの
      指導医の適切な管理下で行うこと。
    ② 適応の誤りによるもの
      術前検討を十分に行うこと。
    ③ ケアレスミス
      常に、冷静に手順を考えながら手技を行うこと。
3.リスク回避の実際。
  1)ルールを守る。
    ① 救急や診療上に疑問点や不安点あるなら、上級医を呼ぶこと。
    ② 研修医が重大な見落としをすることは全国各地で起こっている。
      当直は必ず、上級医とペアでする。
    ③ 研修医は必ず上級医の許可をとってから患者を帰宅させること。
    ④ 上級医や周辺のスタッフとの連携を密にする。報告、連絡、相談。
    ⑤ 針刺し事故などの事故に気付いたら、直ちにマニュアルに従って行動する。
    ⑥ 院内感染、医療安全、診療規定、救急診療指針、などを順守する。
  2)事故が発生したら、「指導医」あるいは「安全管理者」に直ちに報告する。

研修医処遇について
常勤・非常勤の別 常勤 常勤
研修手当 1年次の支給額(税込)
基本手当/月(540,000円)
賞与/年(基本給に含む)
当直手当:9,900円/回
2年次の支給額(税込)
基本手当/月(550,000円)
賞与/年(基本給に含む)
当直手当:9,900円/回
勤務時間 基本的な勤務時間: 8:15~17:00 (24時間表記)
休暇 有給休暇:1年次 20日
夏季休暇:5日間
年末年始休暇 有
2年次 20日
 
 
当直 約2回/月
研修医の宿舎 有(病院敷地外で借り上げ宿舎で対応、病院近辺)
社会保険・労働保険 公的医療保険: 有
公的年金保険: 有
労働者災害補償保険法の適応: 有
雇用保険: 有
健康管理 健康診断: 年2回
医師賠償責任保険 病院において加入する
個人加入は任意
研修医専用デスク
インターネット接続 可
学習環境 Up To Date への接続: 不可
MEDLINEへの接続: 可
医中誌への接続: 可
図書館または図書室: 有(24時間利用可能)

【連絡先】
 労働者健康安全機構富山労災病院 総務課 人事担当
 〒937-0042 魚津市六郎丸992
 TEL 0765-22-1280(代) 内線382
 FAX 0765-22-5475