内科(呼吸器科)のご紹介

診療の特色(専門分野等)

呼吸器内科では①悪性腫瘍(肺がんなど)、②アレルギー(気管支喘息など)、③呼吸機能異常(肺気腫、慢性気管支炎など)、④免疫異常(間質性肺炎などのびまん性肺疾患)、⑤感染症(肺炎、肺結核など)、⑥職業関連疾患(アスベスト関連疾患、じん肺など)など様々な病気を扱っています。当院では日本呼吸器学会認定の指導医・専門医が常勤で3名在籍しており、呼吸器外科医や放射線科医とも連携して診療にあたっているため幅広い疾患に対応できます。
当院は国指定の地域がん診療連携拠点病院であり、日本がん治療医認定機構の認定施設にも認定されたことより、特に肺がん・アスベスト関連疾患の予防・診断・治療および緩和ケアの普及・教育・チーム活動に力を入れています。
労災病院としての政策医療の一貫としてアスベスト疾患センターの設置および勤労者の健康管理において近年注目されている睡眠時無呼吸症候群の診療も行っています。
また、できるだけ最新の治療を取り入れるため、臨床研究(いわゆる治験など)を積極的に取り入れています。

内科(呼吸器科)

内科(呼吸器科)対象となる疾患

対象となる主な疾患

1)肺がん 

肺がんは日本人の癌による死亡原因の第一位を占める癌です。年間に約7万人もの方が肺がんで亡くなっています。肺がんの一番の原因はタバコです。当院では平成19年より禁煙外来を開始し予防に力を入れています。また、肺がんの早期発見・診断のために低線量CT検診やPET/CT(富山県内で最初に導入)検診を積極的に行っています。
診断にはマルチスライスCT(MDCT)を放射線科医と共同で読影し、気管支内視鏡による生検やCTガイド下肺生検を用いて可能な限り確定診断を得るようにしています。気管支内視鏡検査の際にはMDCTを用いたバーチャル気管支ナビゲーション(Virtual Bronchoscopy)を併用し生検精度を向上させています。さらに診断の困難な小さな病変では、PET/CTを参考にしたり、呼吸器外科と連携し内視鏡手術(VATS)を依頼しています。
治療にあたっては、肺がんの細胞や組織から遺伝子検査を行いEGFR遺伝子の変異やALK-EML融合遺伝子の有無を確認し、手術不能の症例には適応した分子標的薬での治療を行っています。その他の進行した症例に対しても、化学療法(抗がん剤)、放射線治療について肺がんガイドラインに従って行っています。

肺がん1

肺がん2
肺がん3

Virtual Bronchoscopy (左)、気管支内視鏡(右)
2)気管支喘息

気管支喘息は、アレルギー性の気道炎症とそれに伴う軽度の刺激にでも反応する気道過敏性を特徴とする疾患です。アレルギーによる気道の炎症があると、粘膜が腫れて内腔が狭くなったり、分泌物(痰)によって閉塞したりします。また、気道が過敏となっており、タバコの煙や冷気などちょっとした刺激でも気道がけいれんして気道狭窄を起こします。そのため発作が起こると喘鳴(特に呼気の際にヒューヒューやゼーゼーといった音が出る)を特徴とする呼吸困難や咳が続いたりします。
気管支喘息の治療で重要なことはアレルギーを起こすアレルゲン(抗原)の除去です。しかし、大人のアレルゲンの多くはダニやハウスダスト等の吸入性アレルゲンのため、生活から除去することはかなり困難です。そのため治療としては薬物療法に頼ることが多いのが現状です。喘息の発作時には気管支のけいれん(攣縮)を和らげる薬(気管支拡張薬)を用います。レリーバとも呼ばれ、吸入薬や点滴で治療しますが気道炎症に対しては効果がありません。発作が起こらないようにするために、コントローラーと呼ばれるステロイド薬や抗アレルギー薬で治療を継続する必要があります。
特にステロイドは使い方によって効果や副作用に違いがあります。喘息の治療は長期に渡るため、患者さんへの病状説明や治療への相談を受け納得できる医療を心がけています。

気管支喘息

一般社団法人 日本呼吸器学会ホームページ(http://www.jrs.or.jp/)より

3)COPD

主としてタバコの煙を吸入暴露することで発病する肺の炎症性疾患です。気道の炎症を主とする慢性気管支炎と肺胞の破壊を生ずる肺気腫とがあります。近年はCODPでは全身の炎症疾患という考え方がされるようになってきています。そのため、呼吸機能検査や胸部CT検査でCOPDの程度を評価するのみならず、血液検査・骨塩定量・心エコーや栄養評価等全身を評価するよう心がけています。治療については禁煙指導をはじめ吸入療法、内服薬、貼付薬等を調節しています。呼吸不全時の換気補助についてはあらかじめ患者さんと御家族と相談し、いざその必要性がある際に備えるようにしています。換気補助については、経鼻間欠的陽圧換気(NIPPV)や人工呼吸器管理が行えます。

COPD

一般社団法人 日本呼吸器学会ホームページ(http://www.jrs.or.jp/)より

4)びまん性肺疾患(間質性肺炎)

肺は肺胞というブドウの房状の小さな袋がたくさん集まってできています。間質性肺炎はこの肺胞の壁が炎症を起こして、壁が腫れたり壁構造が壊れて線維化を起こしたりする病気です。肺胞の壁がこのようになると呼吸をしても酸素を取り込みずらくなり呼吸困難をきたします。間質性肺炎の原因はさまざまで、膠原病(リウマチ関連の病気)、じん肺、放射線、アレルギー性、薬剤性などがありますが原因不明な方も少なくありません。レントゲン検査・CT検査、呼吸機能検査、血液中の酸素量の測定などから病気の勢いを評価したり病型を分類します。可能な限り気管支内視鏡検査により肺の洗浄検査や肺生検にて正確な診断を心がけています。

5)肺炎

肺炎はありふれた疾患ですが、日本人の死亡原因の第三位にランクインしており命に関わる病気です。肺炎の診断にあたり大切なことは原因菌(起因菌)の究明です。原因菌が判明すれば、適切な抗菌薬で治療することができます。原因菌を調べるためには喀痰や血液の培養が重要です。しかし、最近では咽頭粘膜からのマイコプラズマの抗原、尿からのレジオネラの抗原や肺炎球菌の抗原の有無を15分程度で調べられるため抗菌薬の選択が早期から適切に行えるようになっています。
一方適切な抗生剤で治療する必要があるのはもちろん、患者さんの抵抗力・治癒力も非常に重要です。特に嚥下機能の低下した方に起こる誤嚥性肺炎は重症のことが多いです。栄養補給や十分なケアと共にリハビリ科と連携して嚥下訓練を行いながら治療にあたるようにしています。

6)アスベスト関連疾患

平成17年6月の尼崎市旧クボタ工場周辺住民に中皮腫などアスベストによる病気の方が多数認められたことが報道され、いわゆるクボタショックが起こりました。国の指示の下、アスベスト健診やアスベストに関する相談業務を行うため、当院を含む全国22の労災病院にアスベスト疾患センターが設立されました。アスベストに関するあらゆる健康障害の相談を受けています。具体的には、アスベストを直接・間接に取り扱う現役の作業者や離職者の方々、またはその御家族、不安を持っている一般住民の方、さらには御遺族の方、また直接それらの方々から御相談を受けた先生からも、数多く相談を受けています。御紹介の際には下記連絡先へ予約を入れていただくと、よりスムーズに受診していただけます。

【アスベスト疾患センター連絡先】

直通電話  0765-24-6471
ファックス 0120-935-631

主な特殊検査

終夜睡眠ポリグラフィー、気管支ファイバー

施設認定を受けている学会名

  •  日本内科学会
  •  日本アレルギー学会
  •  日本呼吸器学会

外来診療

曜日 月曜 火曜 水曜 木曜 金曜
初診23診 川﨑   平井    
28診 平井 川﨑   川﨑 平井
29診     水橋    
31診 水橋        

専門外来

『睡眠時無呼吸症候群外来』
毎週火曜 午前9時30分~11時30分 ※要予約

『禁煙外来』
 ※休診

『アスベスト疾患センター』
毎週月曜~金曜 午後12時30分~ ※要予約

診療スタッフ

呼吸器内科部長
川﨑 聡(かわさき あきら)
【専門】
呼吸器
【資格】
日本呼吸器学会指導医
日本アレルギー学会専門医
日本内科学会総合内科専門医


アスベスト疾患センター長
併任 感染症内科部長 
水橋 啓一


アスベスト疾患センター長
併任 感染症内科部長
水橋 啓一(みずはし けいいち)
【専門】
呼吸器
【資格】
指導医
日本内科学会 日本呼吸器学会
日本感染症学会 日本アレルギー学会
その他
日本医師会産業医
労働衛生コンサルタント(保健衛生)
インフェクションコントロールドクター



呼吸器内科副部長
平井 孝弘(ひらい たかひろ)
【専門】
呼吸器
【資格】


とやま労災だより

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