泌尿器科 対象となる疾患

1)泌尿器科癌

PET-CTをはじめ癌の検査を行う機器は充実しています。手術療法、放射線療法、化学療法などの薬物療法、と幅広い癌治療の手段を有しています。院内の緩和医療チームとも連携し、がん治療のみならずQOLも重視した医療を行っています。泌尿器科癌診療ガイドラインに準拠した診療を提示していきますが、本人や家族の意向を尊重したうえで方針を決定しています。

前立腺癌

外来では腫瘍マーカー(PSA)の確認、触診、エコーを行い、がんが疑われる方に対しては入院で前立腺針生検を行い、確定診断を下しています。針生検は経会陰的、経直腸的といずれも対応可能です。遠隔転移の鑑別はPET-CTなどを用い外来で行っています。早期癌については手術療法もしくは放射線療法を柱とした治療を行います。年齢や全身状態によっては内分泌療法を第一とすることもあります。進行がんについては外来通院による抗がん化学療法を行っています。腹腔鏡下前立腺手術を実施しております。

膀胱癌

表在性膀胱癌では経尿道的手術を、上皮内がんでは膀胱内BCG注入療法を、局所浸潤癌や膀胱温存治療が困難な症例へは膀胱全摘出術を主として行います。進行がんに対しては抗がん化学療法を行います。病状や全身状態を勘案の上放射線療法を行うこともあります。膀胱全摘出術の場合、男女かかわらず状況に応じ回腸利用新膀胱作成術による尿路再建を行っております。膀胱全摘出術後も自然排尿が可能となります。

腎盂尿管がん

限局癌の場合は手術療法を第一選択としています。進行がんに対しては抗がん化学療法を行います。集学的治療の一環として放射線療法を併用することもあります。

腎細胞がん

可能な限りまずは摘出手術を行います。転移を有する方に対しては、各種分子標的治療薬の投与を検討します。

精巣癌、陰茎癌

手術療法を先行し、病期診断と病理診断を踏まえて放射線療法や化学療法を行います。

副腎腫瘍

腫瘍の大きさや増大速度、内分泌学的所見を判定し、適応があれば摘出術を行います。

腹腔鏡手術

前立腺癌、腎癌、腎盂尿管癌、副腎腫瘍などを対象として腹腔鏡手術を行っております。モニター上の鮮明な術野を確認しながら手術を行いますので、少ない出血量で繊細な手術操作を行うことが可能です。腎盂尿管移行部狭窄症など良性疾患に対しても腹腔鏡手術を用いております。

癌終末期医療

がん診療連携拠点病院として、院内緩和医療チームによる診療、癌相談支援センターや医療相談室などによる患者や家族への情報提供、などといったサービスを提供しています。市内の医療福祉従事者と連携した癌終末期患者への在宅医療福祉サービスを「住み慣れた地域での終活を支援する癌終末期在宅医療」と掲げ、在宅医療に取り組んでおります。

2)尿路結石

平成27年11月より尿路結石破砕センターで治療を行っております。

3)骨盤臓器脱(膀胱脱、子宮脱、膣断端脱)

メッシュを用いたTVM手術を行っています。子宮を摘出することなく良好な治療成績が得られております。100例以上の手術経験を有します。
 詳しくは「膀胱脱、子宮脱への手術」をご覧ください。

4)腹圧性尿失禁

プロリンテープで中部尿道を支持する手術(TOT法)を採用しています。100例以上の手術経験を有します。9割以上の奏功率です。
とやま労災だより VOL.121勇気を出して尿もれで困らない生活を目指しませんか」をご参照ください。

5)前立腺肥大症

多多くの方はα1遮断薬の経口投与で良好な経過がみられております。投薬無効例や重症例に対しては532nmレーザー光選択的前立腺蒸散術(PVP)もしくは経尿道的前立腺切除術(TUR-P)を行っています。532nmレーザー光選択的前立腺蒸散術は最新機種(Green Light XPS)🄬を用いており、入院期間の短縮化や抗血栓療法継続下での治療が可能となりました。県内では当院が唯一の実施施設です。

532㎜レーザー光選択的前立腺蒸散術(PVP): Green Light XPS🄬

外部リンク:https://www.bph-chiryo.jp/treatment/operation.html

532nmレーザー光選択的前立腺蒸散術
“©2021 Boston Scientific Corporation. All rights reserved.”

532㎜レーザー光選択的前立腺蒸散術2
経尿道的前立腺切除術(TUR-P)

6)過活動膀胱

  1. まずは生活指導、行動療法、薬物療法で症状緩和を図ります。
  2. 既存の薬剤が無効である難治性過活動膀胱に対し、A型ボツリヌストキシン膀胱壁内注入療法を行っております。口渇や便秘などの副作用がなく難治性過活動膀胱症例に対しても効果が期待できる、短時間の外来診療で治療できる、などといった利点を有します。2020年春から一般診療として認可された新しい治療です。当院は富山県で唯一本治療の臨床試験に参加し2016年から本治療を実施しております。70症例以上の診療実績を有します。富山県内で最多の実績を誇り、その成果は日本泌尿器科学会中部総会一般演題並びにシンポジウムで発表しております。
    とやま労災だより VOL.131 尿失禁や頻尿でお悩みの方へ」をご参照ください。
    外部リンク:https://hainyo-onayami.jp/oab/treatment/treatment_002.html

富山県で唯一の日本排尿機能学会認定医在籍病院であり、各種治療抵抗性の難治症例に対しては仙骨神経刺激療法(SNM)を提供いたします。当院は本治療の施設基準を満たしております。入院による手術治療を要しますが、難治症例に対し最も効果が期待できる治療法です。
外部リンク:https://www.nihonkohden.co.jp/ippan/oab/sp/snm.html

7)神経因性膀胱

経口薬、間歇導尿、尿路カテーテル留置を治療の軸としています。

8)間質性膀胱炎

膀胱水圧拡張術の施設基準を満たしております。臨床的重症度を勘案し、膀胱水圧拡張術を行っております。当院は国内でも限られた臨床試験実施施設の一つです。ハンナ型の場合はジムソ膀胱内注入を行っています。当院は国内でも限られた臨床試験実施施設の一つです。膀胱痛症候群も間質性膀胱炎類似疾患として治療提供を行っています。

9)小児遺尿症

生活指導、薬物療法、アラームを柱とした治療を行っています。

10)尿路性器感染症(膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎)

軽症の方は外来的に抗菌剤投与を行っています。重症感染症の場合は入院で抗菌剤投与を行うとともに、尿路基礎疾患の是正ならびに全身感染症に伴う続発症の回避に努めています。

11)包茎

必要性に応じ手術を行っています。通常は外来的に手術を行いますが、小児は入院で手術を行います。

12)前立腺手術後の腹圧性尿失禁

軽~中等症の方へは骨盤底筋体操や薬物療法での症状緩和を図っております。重症例については人工尿道括約筋留置術を提供し、良好な結果が得られております。富山県で唯一の実施施設です。
2022年7月に開催された第34回北陸排尿障害研究会において当院の診療実績をまとめて報告した「外傷性尿道(尿道括約筋を含む)損傷に対する観血的再建術の取り組みについて」が優秀演題賞を受賞しました。
外部リンク:https://www.bostonscientific.com/jp-JP/products/ArtificialUrinarySphincter/AMS800.html

13)尿道狭窄症に対する尿道形成術

尿道狭窄症は何らかの原因で尿道に傷がつき、修復される過程で線維化や瘢痕化という反応が起こって尿道の内腔が狭くなる疾患です。尿道狭窄に伴い尿勢低下などの尿排出障害が生じ、重症の場合尿閉に至ります。労働災害疾病を始めとした外傷に起因し発症することが多いです。経尿道的処置を始めとした簡便な治療は奏効する症例が限られているのみならず、処置に伴う尿道粘膜の損傷によって根治治療の妨げにもなってしまいます。経会陰的尿道形成術が世界的に標準治療として普及しております。国内に関しては限られた施設でしか行われておらず、当院は数少ない実施施設の一つです。富山県のみならず石川県、福井県の県立病院あるいは大学病院からも紹介をうけ、尿道形成術を実施し、良好な結果が得られております。石浦は尿道狭窄症診療ガイドライン作成委員の一員です。尿道形成術の第一人者である防衛医科大学校堀口明男先生(尿道狭窄症診療ガイドライン作成委員長)と共同で適切な尿道狭窄症診療の普及に努めています。
外部リンク:http://square.umin.ac.jp/impreza/

14)難治性排尿障害、重症尿失禁

当科では排尿障害に対する診療を重点的に行っております。過活動膀胱、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、尿排出障害、尿閉などが排尿障害に該当します。軽症例では薬物療法や行動療法が良い治療手段となります。しかし低頻度ながら重症例は存在し、排尿障害で困窮、不便を強いられることになります。そういった患者様で適応のある方には手術治療を提供しております。北陸三県あるいは富山県の他施設では行われていない高度な医療に関しても厚生労働省の認可や基準を満たし、行うことが可能となっております。これらの手術については富山県で唯一の排尿機能学会専門医が担当します。一般的な排尿障害手術や排尿に影響を及ぼす手術、手術以外の排尿障害治療、排尿障害全般への各種精密検査も行っております。都心部で行われている排尿障害手術を北陸や富山でも受けられるよう努めております。排尿障害でお困りお悩みの方を対象として具体的には以下の診療を提供しております。もちろん一般的な治療に関しても行っております。富山労災病院の受診が初めての方(初診)や他院で治療を受けておられる方に対しても外来診療時間内にお越し頂けましたら診察いたします。

限定された施設でのみ行われている手術の一覧

  • 難治性過活動膀胱に対するボトックス膀胱壁内注入療法
  • 難治性過活動膀胱に対する仙骨神経刺激療法
  • 腹圧性尿失禁に対するTOT手術
  • 膀胱脱に対するメッシュ利用修復手術
  • 間質性膀胱炎に対する膀胱水圧拡張
  • 前立腺手術に伴う重症腹圧性尿失禁に対する人工尿道括約筋埋め込み術
  • 骨盤骨折や会陰部打撲に伴う外傷性尿道損傷に対する尿道形成術
  • 労働災害疾病に起因する尿道損傷に対する尿道形成術
  • 前立腺肥大症に対する532nmレーザー光選択的前立腺蒸散術(PVP): Green Light XPS🄬
  • 間質性膀胱炎に対する臨床試験